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蝉しぐれの鎮守の森で… 
「… 蝉しぐれの鎮守の森で、半ば悔恨の中に怯えていた。マサオは、得意満面を装っているが、本当のところ、彼も後悔しているのだとその落ち着かない素振りが物語っている。子どもたちが拳骨ジジイとあだ名を付けた近所の口うるさい爺さんに一泡吹かせようと「西瓜泥棒」を計画したのは彼だった。そして、ことは成就した。しかし…」

昨年の夏の初め、「島根日々新聞」に「ガキの頃のように…!」と題して小さなコラムを書いた。「田舎暮らしのすすめ」というくくりのなかで、数人の友人と持ち回りで執筆をしていたのだが…。その夏の日に、自身の少年の日々を振り返り、当時の農村の子どもの「倫理観」のあり様に触れながら田舎暮らしの「優位」について書いた。(冒頭の引用は、その部分である。)

これを新聞社に送る前に、共同執筆をするメンバー全員にメールに添付して送ったのだが、一人だけ返信があった。「手直しせよ…!。」かと開けてみれば、その内容が「解らない!?」という。

蝉しぐれの鎮守の森や、近所の口うるさい爺さん…。そして「西瓜泥棒」も、文字になったものや、TVドラマなどに見聴きしてきたという。しかし、「自らの体験として…!」解さないそれらを、どう受け止めるべきか理解できないでいるという。

驚いた!。しかし、厳密に言えば、けして「解せない…!?」と言ってきた彼に驚いたのではない。

彼と、わたしの年齢差は17年ほどだろうか。また、その育ちの環境も、わたしは関東の田舎に育ったのだが、彼は、九州の比較的おおきな都市にその少年期を過ごしたという。だけに、些少のギャップがあっても当たり前であるのかもしれない。しかし、それが、先に記した文章を理解できないレベルの違いであるのだとしたら…。ただただ、驚くほかになかった。

じつは、今日、我が焚き火小屋を使ったプログラムを企画したいと、ある行政の市民活動を支援する担当者が、しまね自然の学校を訪れた。「上津の自然の中で"子育てと自然の関係”を子育て中の若い親たちに考えてもらいたい」と熱く語られる。「論としては」である。しかし、どうにも論点がすれ違う。具体的に、「上津や、我が焚き火小屋のなにをツールとして使いたいのか!?」をたずねても「ここには、自然が…!。」と繰り返すばかりで要領を得ないのだ。

友人の「解せない…!?」が思われた。

結果、自身の「しなければならない事業…!。」を行政のルールの中にかたちにすることに意識が向きすぎてしまって、もっとも大切にするべき「主人公は誰か…!。」や「テーマは…!。」が見出せないようだ。

無理からぬことかも知れない。ここで叩けば「これは暴力だ!。」と考えながらも、すこし手きびしい意見をのべさせていただいた。

「… 「百姓の息子たち」は、父や母や、おじじやばっぱが、丹精をこめて作物を育てる田畑を荒らすことの意味をよく知っていた。そして、そこを荒らしたそのあとに、自分にどんな結果が待つのかもである。寡黙になったマサオが、ポケットからボロ布に包まれた肥後乃守を取り出した。その刃先が少し入ったせつな、西瓜は、その場にいた子どもたちの心を見透かしていたかのように、音立ててはじけた。…」

子どもを育てるとは、地域社会に理想的な次世代を育てるに他なるまい。そして、だとするなら、それは「環境学習型の自然体験」や、「学び」が主体の公教育環境だけでは補えきれないと理解するべきだ。なぜなら、「「百姓の息子たち」の倫理観」とは、その暮らす環境との関わりに子どもたち自らが主体性に基づく体験に学んだものであるからだ。

こうしたことの理解は、かつて、それぞれの育ちの「あたりまえの体験」にあった。ここに、ことさらに言葉にする必要などなかったはずである。しかし、友人の「解せない…!?」を含む現状を理解すれば、その「体験としての理解を持つ世代」こそが担うべき役割のあることが明確であるのだろう。

いつだったか、ある町の教育者の研修・懇話会に呼ばれたときのことである。主催の挨拶にたった教育長さんが現代の子どもの「我慢の無さ」や「頑張る力の欠如」をなげかれていた。その教育長さんの思いを解さないわけではないが、ここでも手きびしく意見をのべさせていただいた。

われわれが理解すべきは、わたしや、その教育長さんの育ちは、「我慢」や「頑張る力」を自ら育めるほどに恵まれたいたのである。引き換え、いまの子どもたちはその親の世代までもが、そうした体験を大切なものと理解する機会を持つことが出来なかったのだと考えるべきだからである。

ともあれ、われわれは、「子どもたちの育ちの環境がこれほどに歪んでしまった」ことに、まずは、気づくことからはじめなければならないようだ。
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