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「幸運なのか!。」 
これは「幸運なのか!。」それとも…!?。

ボロカメラを持ち出し、天窓から屋根の上に抜け出て…。昨日にくらべ、すこし数のふえた狂い咲きの「桜花」を撮っていた。風がでてきて、揺らぐそれを捉えるほどの腕もなく、あきらめて部屋に戻ろうとしたところに蜻蛉が舞う。

アキアカネだ!。あわててカメラを向けたのだが、となりの農機具小屋の古い石州瓦が背景になってまるで見えなくなる。ふと見上げれば、先ほどまで、雨でも来るかと思えるほどにどんよりとしていた空に、一箇所だけ、白く光る雲があった。

とっさに「これを背景にすれば!。」と考えた。しかし、天窓に戻って、建物の内部を通って…!。アキアカネが、そんな時間を待ってくれるわけもない。意を決して、屋根の上から4メートルほどの高さを跳んだ!。

時間にすれば2秒にも満たないはずが、ながく、ながく感じられ、同時に、はるかな過去が甦る。

明星山P2西稜末端壁の大凹角に、のちに「フラートス・ウェルヌス(春の息吹)ルート」と名付けたルートの開拓中だった。高さ200メートルほどの石灰岩の岩壁に、巨大な木の葉のようなかたちをした大凹角の真っ只中を直上するクラックを、パワフルなレイバックで豪快に攀じり、核心部のハングを越えたところでレストに入った。

と言っても、休める場所があるわけではない。大岩壁とフレーク状の岩の間に左足をロックして、その少し上のクラックに左の腕を肩の付け根までねじ込んで、岩の内部でジャミングをしてレストしようと考えたのだ。

クラックの中に、ジャミングするポジションを探っていた指先が、奇妙な柔らかいものに触れた気がした。刹那、岩の中で「ギャァー!!」と声がして…。「ヤバイ!」と感じて抜こうとした腕の上を走って、なにか黒いモノが飛び出してきた。悲鳴もあげられず、身動きもできないままに顔を背けたら、それは、わたしの肩を蹴って宙に跳んだ!。

あわてて目に追えば、その黒いかたまりは、突然、四角い布のように広がって、はるか下方の沢沿いの森に向かって滑空する。

ムササビだった!。セカンドを攀じってきた相棒は「すげぇー!おい!。ムササビが下に滑空するのははじめて見たぜ!!。」と珍しい体験に興奮していた。

着地した砂地の沈みこむのを感じ、そのまま前方に転がって…。見上げれば、まだ、アキアカネは桜の細い枝のさきだ!。立つのももどかしく、そのまま白く光る雲だけを意識して、シャッターを切った途端に、蜻蛉が翔んだ!。

風に乗って、流れるように…!。

怪我が無いかどうかを確認しつつ立ち上がったところに、近所の古老の「だいじょうぶかね!?」の声がした!。「屋根の上でなにかをしていると見ていたら、いきなり、あんたが落ちて…!。」ビックリしたという。

あの五月の明星山の新緑の森を滑空するムササビと…!。風に乗って、流れるように翔んだアキアカネと、「蜻蛉がって、あんた…!?。」と怪訝な古老の顔が、あたまの中に交互に入れ替わってぐるぐる回るのを感じた。

まったく、人騒がせな人生ではある!。




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