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「薪」 
「薪」という文字は、「たきぎ」と読むか、もしくは「まき」と読むのかで、見た目も使われる状況も、その意味するところが違ってくるのだろう。

しかし、これを今どきの辞書に牽けば、まず「たきぎ」では、【かまど・炉などで燃料にする細い枝や木。たきもの。まき。】などと出てくる。だが、これを「まき」と読んで調べれば、こんどは【燃料にするため適当な長さに切ったり割ったりした木。たきぎ。わりき。 「―をくべる」「―割り」】となる。

つまり、その見た目や使われる状況を説明する文章では、「燃料としての木」であることは意識させるが、まったく別なものであると理解させるかのように記し…。しかし、言葉としては同義語だと扱うのだ。

これに少なからぬ疑問を持って、それが、かつて農山村の人々の暮らしや古い昔話などにどのようにあったのかを詳しく調べて見る気になった。

農山村の人々の暮らしに燃料として使われていたものを、自らの微かな体験に照らして考えれば「粗朶(そだ)」という言葉が思われる。これは、直径数cm程度の細い木の枝を集めて束状にしたものを言う。ときに土木工事の現場などで簡易な土留めにも使われたし、大きな河川などでは、いわゆる川魚漁などに漁礁の資材としても利用されることもあったのだから、これを燃料と断言することは出来ないのかも知れない。

だが、昭和30年代の、いわゆる「燃料革命」に石油、ガス、電気にとって代わられるまで、この「粗朶」こそが、農山村の人々の暮らしに重要な燃料であったことに変わりはない。つまり「かまど」や「炉」に焼べられたものとは、けして「まき」などではないのだ。

日本の昔話には、いわゆる「柴刈りのおじいさん」がよく出てくる。桃太郎のおじいさんもそうだし、かちかち山でもウサギとタヌキが山で柴刈りをするのだろう。

そして、この「柴」とは、森林の潅木(低木)を意味する。つまり「柴刈り」とは、山里の人々が日々の暮らしの燃料として、この潅木を切ったり、山の手入れをしたりすることを意味するのだ。

「柴」は、山村の人々の重要な燃料であり、また木炭とともに大切な現金収入源でもあった。だけに、昭和30年代のはじめごろまで全国のほとんどの山村では炭焼きや柴の生産が行われていたのだ。

そのための森林を「薪炭林」というのだが、シイ、カシ、ナラなどの広葉樹林で、おおよそ20年生で伐採した。そして、その切り株から生えてくる萌芽が、20 年くらいで再び燃料材に使えるようになるのだ。つまり、この国の風土にあった自然にまかせて木を育てる方法を「天然更新」という。これは手間も経費もかからないので広く全国的に行われたようだ。

また、昭和24年の国の調査によれば、一般家庭における一人当たりの年平均の消費燃料は200万キロカロリーで、このうち薪類が78・5パーセントだったという。つまり、このころでも、人々の暮らしの燃料は、薪こそが主役だったということができるようだ。

写真は、我が焚き火小屋の「薪」に代わるそれである。

残念ながら、ここ上津のように豊かな田園環境でも、かつてのような里山との関係は失われている。「経済」という価値観こそを、そのすべての中心に据える都市型の消費生活の影響が、山を荒れるにまかせている。つまり、農村でも「薪」をすぐそばの里山に求めることが難しいくなってしまっているのだ。

清の李漁(李笠翁)に「十便十宜」がある。山麓の草庵に閑居した詩人を訪ねた客の「静だろうが、不便ではないか…。」にこたえて、自然とともに生きる豊かさの便と宜とを、それぞれ十則の詩にしたのだそうだ。池大雅と与謝蕪村の合作した「十便十宜帖」(国宝)は、この詩にもとづくものと聞く。

そのうち、大雅作の「十便」に「樵便(しょうべん)」がある。つまり、山里に暮らし、燃料となる「薪」に不自由しない便利をいうのだろう。

写真のそれは、ここ焚き火小屋を自分たちの活動拠点とするベロニカの会のメンバーが、"街から出る建築廃材”から燃料に使えるもの手に入れ、これを丁寧に掃除して、細かく、使いやすくカットしたものだ。つまり、大変に手間のかけられた「薪」に代わるものなのである。

「かまど」や「炉」に、質の高い調理の環境を求めるなら、つまり「まき」だけでは、絶妙というべき火加減が出来ないと、彼女たちは言うのだ。そして確かに、茶事のそれに例えるなら「炭手前」とでもいうほどに、彼女たちの調理の所作は美しい!。

「たきぎに花」という言葉があるそうだ。これは「 粗野な中にも、ゆかしい風情のあるさま。」をいうのだ聞く。しかし、なんとも「薪」の文化を正しく解さない者の傲慢で思い上がった言葉であるのだろう。

ともあれ、この「薪」について、いま少し考えるべきことがあるようだ!。




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